リックス(7525):不安定な相場では地味な銘柄に着目!創業以来117年黒字企業の魅力

創業117年で一度も赤字がないという驚異的な歴史を持つ、福岡発の「メーカー商社」リックス。

本動画では、相場が落ちつかない状況の中でも着実に業績を積み上げる同社の投資価値と安定性の理由を徹底解説します。単なる商品の調達にとどまらず、高利益率な自社オリジナル製品の割合を高める「メーカー商社」への進化 や、鉄鋼・自動車・半導体・工作機械など多岐にわたる大企業顧客基盤による強固な業種分散 を紐解きます。

さらに、PER 8.9倍・PBR 0.92倍・配当利回り約4.95% という魅力的な割安水準の検証 に加え、DOE 4.5%(実質的な累進配当)の導入 や PBR 1倍割れ解消に向けた積極的なIR強化、足元で好調な半導体・工作機械向け受注の最新動向まで詳しく分析。派手さはなくともポートフォリオの「安定剤」として力を発揮する同社の魅力を分かりやすくお伝えします。

※上記のスライドは、撮影を受けてあとから自動生成したものです。

1. はじめに:相場混迷期における「割安安定株」への着目

株式市場のボラティリティが高まり、方向感の定まらない展開が続いています。このような相場混迷期において、ポートフォリオ全体のリスク・ボラティリティを制御し、精神的な余裕を持って長期投資を継続するためには、業績および配当の安定性が極めて高い「割安安定株」を一定割合組み込んでおくことが有効な戦略となります。

今回レポートで取り上げるのは、福岡県福岡市に本社を置くリックス株式会社(東証プライム・証券コード:7525)です。なお、同社は金融大手の「オリックス」とは全く無関係の独立系企業です。まずは、同社の足元の主要株価・財務指標を確認しておきましょう。

指標項目水準・数値
時価総額約283億円
PER(株価収益率)8.9倍
PBR(株価純資産倍率)0.92倍
配当利回り4.95%

※指標数値は分析時点(2024年11月上旬)のデータに基づく。

指標面を観測すると、PERは8倍台、PBRは1倍を大きく下回る0.92倍、そして予想配当利回りは約5%に達しており、極めて割安な水準に放置されています。株価チャート上は直近でやや南調な値動きを示しているものの、業績の実体を確認すると、過去に20億〜30億円規模であった営業利益が足元では40億円規模へと着実に拡大しており、堅実な業績の積み上がりが確認できます。

それにもかかわらず株式市場で正当な評価を受けていない背景には、同社が「製造業向けの地味な卸売商社」という表面的なパブリックイメージにとどまっている点が影響していると考えられます。しかし実態としては、極めて強いビジネス構造と高いインカムゲインを提供しており、中長期でのバリュエーション(割安度)修正を気長に待つうえで大変興味深い環境が整っていると評価できます。

次セクションでは、同社が長年にわたり強固な業績基盤を維持し続けられている理由について、その歴史と「業種分散」の観点から掘り下げます。

2. 117年間「無赤字」を支える広範な業種分散と強固な顧客基盤

リックスの前身は、北九州の旧・八幡製鉄所向けに産業用機材を納入する事業からスタートし、創業から117年という極めて長い歴史を有しています。特筆すべきは、この117年もの間、「一度も通期赤字に落ち込んだことがない」という驚異的な実績を誇っている点です。時価総額283億円規模の中小型企業において、これほど長期にわたり無赤字経営を維持できている事実は、単なる運や景気循環の巡り合わせではなく、事業構造そのものに優れたリスク回避の仕組みが組み込まれているためと推察されます。

同社の安定性を裏付ける最大の強みは、日本の製造業を代表する多種多様な顧客基盤と、極めて高度な業種分散にあります。主要な取引先をセグメント別に整理すると以下の通りです。

  • 製鉄: 日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所
  • 自動車: トヨタ自動車、デンソー、アイシン
  • 電子・半導体: キオクシア、ソニー、京セラ
  • ゴム・タイヤ: ブリヂストン、横浜ゴム、住友ゴム
  • 工作機械: ヤマザキマザック、DMG森精機
  • 高機能材・環境・パルプ・食品: 旭化成、東方チタニウム、カナデビア、久保田、住友重機械工業、日本製紙、王子製紙、中越パルプ、サントリー、日清食品 など

単一の産業分野(例:鉄鋼や自動車など)に売上が偏重している企業の場合、当該業界の景気後退期(シクロジカルな下落局局面)に直撃を受け、業績が大きく悪化するリスクを免れません。しかしリックスの場合、仮に製鉄や自動車などのシクロジカルな産業が不況に陥ったとしても、食品(サントリー、日清食品)のようなディフェンシブな分野が下支えし、さらに成長性の高い電子・半導体分野が収益を牽引するという相殺・相互補完メカニズムが働いています。

この広範な業種分散がポートフォリオとして機能することで、リーマン・ショックのような未曽有のマクロショック下においても赤字転落を回避し、事業の安定性を維持することに寄与していると考えられます。

単なる卸売機能にとどまらず、同社は近年、更なる収益性向上に向けた「構造改革」を進めています。次セクションでは、その核となる「メーカー商社」への進化シナリオについて考察します。

3. 商社から「メーカー商社」への進化と収益性向上のシナリオ

株式市場において、他社製品を購入してそのまま顧客へ販売する純粋な卸売商社は、付加価値が見えにくく粗利益率も低いため、低いバリュエーション(低PER・低PBR)で放置される傾向にあります。しかし、商社でありながら自社開発のオリジナル製品(高付加価値品)を手掛ける「メーカー機能」を拡大できれば、市場からの評価軸は「地味な卸売商社」から「高収益なメーカー」へとシフトし、バリュエーションのマルチプル切り上がりが期待できるようになります。

リックスはこの進化を着実に遂げつつあります。その原動力となっているのが、長年の営業活動で培われた「御用聞き」営業のスタイルです。顧客工場の製造現場へ深く入り込み、現場が抱える具体的な課題やニーズを直接吸い上げ、それを自社の製品開発へと還元することで、ピンポイントで課題を解決する自社製品(オリジナル品)を生み出すメカニズムを確立しています。自社製品は卸売品に比べて利益率が格段に高く、過去に1〜2%程度にとどまっていた同社の売上高営業利益率は、足元で約7%まで向上しており、中期経営計画では8%の達成を標榜しています。

同社の技術的バックボーンは、外部からも高い評価を受けています。

  • 技術力の評価(1): 「マイクロアイスジェット技術」を用いた超精密洗浄技術の開発により、「日本ものづくり大賞 優秀賞」を受賞。
  • 技術力の評価(2): 米インテルが主導する半導体関連の組合(製造装置向け部品・技術関連)へ、福岡県企業として初めて参画。洗浄装置や半導体製造装置の主要コンポーネントである「ロータリージョイント」などの精密・大型装置を手掛けています。

こうした「商社からメーカー機能の強化」によって評価を一変させた過去の事例として、かつて半導体商社から世界的な製造装置メーカーへと進化を遂げた東京エレクトロンや、自社開発品・高付加価値化を拡大させたマクニカなどが挙げられます。リックスも広大な顧客基盤を武器に自社製品を展開しており、同様の評価転換を狙えるポテンシャルを秘めています。

一方で、客観的な分析視点として課題も存在します。同社は2030年度に自社オリジナル品比率55%を目指していますが、足元(2025年度予想)の比率は29.3%と、中間目標であった40%を下回り停滞気味に見えます。

ただし、この目標未達の背景には単なる開発の遅れ(ネガティブ要因)もありますが、「伸びしろ」というポジティブな見方もできます。

同社は既存のロータリージョイントや洗浄装置の域を超え、新領域の探索型開発を加速させるため、2024年11月に「リックス共創センター」を開設しました。医薬品・薬向けDXなどの高付加価値分野へアプローチを広げており、オリジナル比率の再上昇と利益率の向上が期待されます。

続いて、これらの戦略を支える足元の業績動向および資本効率・株主還元策について検証します。

4. 足元の業績動向と株主還元(DOE導入・ROIC経営)の評価

前期の決算において同社は減益となりましたが、その内実を紐解くと事業の減退によるものではありません。ITインフラ刷新や研究開発費の計上といった将来のための販管費増加(先行投資)が主因であり、成長に向けた「筋の悪くない減益」と捉えることができます。

先行きの業績を占ううえで極めて有望なのが、足元の強い受注動向です。新システムベースによる受注残高の前年同期比推移を見ると、以下の通り明確な伸びが確認できます。

  • 工作機械セグメント: 前年同期比 162%
  • 高機能材セグメント(医薬品・高機能材料等): 前年同期比 302%
  • 電子・半導体セグメント: 前年同期比 129%

これら積み上がった受注残高は今後の売上・利益へ順次反映されていく見込みであり、11月11日に予定されている第2四半期決算を含め、今後の業績推移に対して堅調な見通しを立てる根拠となります。

また、同社の財務戦略において注目すべきは資本効率意識の高まりと還元策の変更です。ROE(自己資本利益率)は約11%と良好な水準を維持しています。

ここで投資家として精査すべきは、直近数年間におけるROIC(投下資本利益率)の見かけ上の低下です。これは事業の悪化を意味するものではなく、自社工場の開設や「リックス共創センター」といった固定資産の取得(先行投資)に伴い、投下資本(分母)が一時的に拡大したことによる影響です。今後、これらの固定資産が本格稼働し、利益率の高いオリジナル品が伸びることで回収期に入り、ROICは再び上昇基調を辿ると推察されます。

株主還元面では、2025年より「DOE(株主資本配当率)4.5%」という新方針を導入した点が非常に大きなカタリストです。純資産を基準とするDOEは、赤字を出さない限り純資産が蓄積されるため、構造的に「実質的な累進配当(減配をせず、増配を基本とする方針)」として機能します。117年間無赤字という同社の実績に鑑みれば、配当の安全性と連続増配への期待感は極めて高いと言えます。

さらに、東証の「PBR1倍割れ解消」要請や、東証プライム市場の適合維持要件(時価総額250億円基準等)を意識し、創業家出身の安井社長のもとIR活動を格段に強化しています。個人投資家への認知度向上のため、人気YouTubeチャンネル(「ふゆこ」氏や「馬渕磨理子」氏のチャンネル)へのプロモーション出稿を行うなど、経営陣が株価・市場評価の向上に意欲的である点も、割安解消に向けたプラス要素と判断できます。

次セクションでは、投資判断においてあらかじめ認識しておくべきリスク要因について整理します。

5. 投資判断にあたって留意すべきリスク要因

投資検討においては、ポジティブな魅力だけでなく、同社が抱える固有のリスクや構造的課題についても冷静に評価しておく必要があります。

  1. 製造業全体の景気変動リスク 高度な業種分散を図っているものの、売上顧客の軸足は製造業に置かれています。そのため、世界的な景気後退(リーマン・ショック級の大規模な経済打撃等)が発生した場合、製造業全体における設備投資抑制の影響を完全に遮断することは困難です。
  2. 海外進出の伸び悩み 成長の軸としてインド等の海外拠点を展開していますが、直近では減損処理が発生するなど苦戦が窺えます。全社売上に占める海外比率は約10%にとどまっており、本格的な収益柱への育ちには時間を要する状況です。
  3. 特定顧客への一定の依存度 業種分散が進む一方で、筆頭顧客である日本製鉄グループ向けの売上が全体のアバウト10%を占めており、同社の設備投資動向に一部影響を受ける構造が残存しています。
  4. バリュートラップ(割安放置)リスク 実質本位で地味な企業風土ゆえに、株式市場で話題化しにくく、割安なバリュエーションのまま長期間放置される可能性(バリュートラップ)が考慮されます。
  5. 株式の流動性および規模感の制約 時価総額約283億円と小ぶりな規模であり、売買流動性も限定的です。大口の機関投資家にとっては買い集めや売却の面で一定の制約が存在します。

6. まとめ:ポートフォリオにおける位置づけと今後の注目ポイント

以上の分析を包括すると、リックスは短期間で株価が数倍になるような急成長株ではないものの、抜群の事業安定性と堅固な財務、そして強力な株主還元姿勢を備えた良質な割安株であると総括できます。

過去につばめ投資顧問で推奨し、大きな成果に繋がったハマキョウレックスの事例が大変参考になります。同社も地味ながら淡々と業績を伸ばし、市場のバリュー再評価の波に乗って中長期で株価が大幅に切り上がりました。リックスもまさに同様の資質を備えており、相場全体が波乱に巻き込まれる局面においても相対的に株価の下押し圧力が限られやすく、「ポートフォリオの安定剤・緩衝材」として極めて有用な役割を果たすと考えられます。

当会として、会員の皆様のポートフォリオ構築における本銘柄の戦術的活用法を以下の通り提案いたします。

  • 「現金代替」および「流動性バッファー」としての活用 相場の先行きが不透明な際、単に無利息の現金(キャッシュ)のまま保持するよりも、本銘柄のように利回り約5%(DOE 4.5%方針)を享受できる安定株を保有しておく選択肢が考えられます。配当収入を獲得しつつ、万が一相場全体が急落して他の有望な成長株が暴落した際には、本銘柄を売却して資金を機動的に乗り換える「クッション(バッファー)」として機能させることが可能です。
  • インカムを享受しながら中長期の評価修正を気長に待つ 高い配当利回りを確実に受け取りつつ、メーカー化による利益率向上やIR強化に伴う割安解消(カタリストの結実)を焦らずじっくり待つスタンスが推奨されます。
  • 直近決算と今後のフォローアップ 11月11日予定の第2四半期決算において、潤沢な受注残高が順調に業績へ寄与しているかを確認します。また同社は福岡本社であり、IR取材にも積極的であるため、当会としても追加ヒアリングや現地アプローチを含めた追跡取材を継続してまいります。

混迷する投資環境下において、117年無赤字という揺るぎない実績を持つ同社のような存在は、投資家の皆様の精神的な支柱となり得ます。引き続き、皆様とともに客観的かつ論理的な投資判断を重ねてまいりたいと考えております。

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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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2026年11月7日 7:02 AM
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知らない企業でしたのでたいへん興味深かったです。

少し話がズレてしまいますが、高配当の企業で配当金に期待しながら見守るのと、高い利率の貯金あるいは債権のようなものはどちらが良いのかについて、頭をよぎっています。
最近法律の整備の中で、配当金が多く貰える場合には社会保険料を多く支払わなければならなくなるという話を聞きます。
貯金だとほぼリスク無しで社会保険料の対象外、配当金だと対象なので社会保険料を多く払わなければならないとなれば、これまでよりも高配当株には慎重にならざるを得ないのかな、とも思いました。
NISAが出てきて、ついに政府は本性を表したか・・・という感じで嫌なのですけど、現実は変えられません。まだ少し先のようですが、資産形成としてはどうしたらよいのか、運営の方のみならず皆様のお声をお聞かせていただけると幸いです。

参考までに見たyoutube動画
https://www.youtube.com/watch?v=907pu9qPd-8